ハロルド


神戸の小さな港町、垂水。
こののどかな町の国道2号線沿いにかつてあった
これまた小さな古着商「HO-RAI」。
当時、自身のバンドを解散してシンガーソングライターとして活動始めたばかりで何をどうしていいかわからず路頭に迷ったVo.橋本はこの店に入り浸っていた。
なにをするでもなく、暇さえあればここに来て、店主とただ話をしていることが多かった。古い映画や音楽、ファッションの話が主だった。
そんな折、学生を中心に企画されたファッションショーの衣装を借りに来た当時まだ大学生のDr.箕浦がたまたま偶然この店にやってきたことが このバンドの結成のきっかけとなった。
2人は出会い、意気投合した。
それぞれに物事の「価値」を見る審美眼に狂いのないと思える友人を集めてバンド「ハロルド」を結成する。
「ハロルド」というバンド名はクロケット・ジョンソン作の絵本「はろるどとむらさきのくれよん」の主人公「はろるど」からとられている。
この絵本はVo.橋本が幼少期に繰り返し繰り返し読んだ絵本で、 主人公の「はろるど」が自ら「むらさきのくれよん」を使って描いた世界を旅していくストーリーだ。
このストーリーに重ねて、自由に描いた、あるいは描いてしまった世界を旅をしていきたい、その主人公でいたいというのがこのバンド名の由来だ。
当初、演奏の技術などは全く問題視しておらず、こうしたメンバーそれぞれの古き良きものを愛する精神に最大の重きを置いた。
こうして練られたサウンドと、Vo.橋本の固有の詩世界が混ざり合い、独特の浮遊感や幸福感のある音楽空間を作り上げる。
そしてお互いに切磋琢磨した。音楽の妙をひとつずつ自分たちなりに紐解いていった。
セッションを重ね、その度に興奮した。ライブをするごとに毎度進化を重ね、今後どこまでいけるのか、その可能性はいまだ未知数だ。
小粋なオシャレさを持ちつつ、聞いた人の心を温かく、優しく、どこか懐かしい気持ちにさせさえする楽曲はこれまで多くの人を魅了してきた。
2015年、2016年には長野の大型音楽フェス「りんご音楽祭」にも出演。
じわじわとその頭角を表しつつある