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前回比マイナス○○万人!?【最新版】データで見る日本の音楽事情

今回の記事について

楽器をしてる人はどれくらいいるの?

2016年の調査時と比べてどういう変化があるの?


本記事では、

「平成8年社会生活基本調査結果」

「平成13年社会生活基本調査結果」

「平成18年社会生活基本調査結果」

「平成23年社会生活基本調査結果」

「平成28年社会生活基本調査結果」

「令和3年社会生活基本調査結果」

(いずれも総務省統計局より)

を基に当メディアがまとめた情報をご紹介します。

社会生活基本調査とは?

国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として、5年ごとに実施される基幹統計調査です。
調査結果から「楽器の演奏」を含む約35項目の趣味、娯楽を行う人の数などを知ることができます。



過去の調査結果を元にした記事はコチラ

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コチラの記事では2016年までの調査結果を元に、様々な視点から見た日本の音楽事情についてご紹介してきました。


それから5年。

この間には大きな状況の変化がありました。


総務省の「通信利用動向調査」によると、

スマートホンを持つ個人の割合は2016年は56.8%だったのに対し、2021年は74.3%に。

SNS利用者の割合は、2016年が51.0%だったのに対し、2021年は78.7%に。


さらに、2020年には新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、

趣味や娯楽活動のみならず、生活環境にまで大きな影響を与えました。


そんな中で、人々の「楽器の演奏」に関する行動はどのように変化したのでしょうか?

今回はそういった点も踏まえてご紹介していきたいと思います。


現在の日本の楽器人口は?

早速ですが、まずは現在の日本の楽器人口についてです。


2021年の社会生活基本調査によると、

推定人口(10歳以上):約1億1246万人に対し10.2%にあたる約1,140万人が「楽器の演奏」を行う人だということがわかりました。


今回もこの数値を、他の調査年の数値や他の趣味・娯楽を行う人数と比較しながら考察していきたいと思います。


過去の調査年との比較

まずは、過去の調査年の数値と比較してみましょう。

社会生活基本調査は5年ごとに行われていますので、

1996年から2021年までの25年間、6回分の「楽器の演奏」をする人数と割合の調査結果を以下にまとめました。


楽器を演奏する人数と割合の推移グラフ



このように2021年の最新の調査では人数は約100万人割合は0.7%ほど前回調査より下がっていることがわかります。

1996年から2011年まで、楽器人口の割合はずっと下がり続けていたのですが、2016年に初めて前回を上回りました。

もちろん人数も増加し、「これからまだまだ増えるといいな~」

……と思っていたのですが、残念ながら減少してしまう結果となってしまいました。


それではいったい、どのような層の人が減ってしまったのでしょうか?


男女別の減少割合は男性25%・女性75%

調査年男性人数前回調査との比女性人数前回調査との比
2011年約414.4万人約677.0万人
2016年約482.6万人+68.2万人約757.4万人+80.4万人
2021年約458.3万人-24.3万人約684.4万人-73.0万人
男女別の比較



減少した人数を男女別に見ると、減少したのは女性の方が多いことがわかります。

全体の減少数に対して、男性は約24万人で約25%、女性は73万人で約75%となっています。

ただし楽器人口自体は基本的にどの調査年においても男性より女性の方が多いです。



ほとんどの年代、世代で減少

次に年代別の比較を見てみます。

下の表は2011年、2016年、2021年の年代別の「楽器の演奏」人数です。


年代2011年
(人数)
2016年
(人数)
2021年
(人数)
10〜14歳186.0万人179.0万人147.8万人
15〜19歳143.3万人145.6万人123.8万人
20〜24歳101.6万人106.1万人101.6万人
25〜29歳83.9万人89.1万人76.2万人
30〜34歳83.7万人94.2万人77.3万人
35〜39歳98.6万人101.8万人87.8万人
40〜44歳87.9万人101.3万人94.0万人
45〜49歳73.5万人79.7万人97.9万人
50〜54歳56.8万人72.5万人70.9万人
55〜59歳47.2万人57.7万人63.1万人
60〜64歳46.1万人59.7万人50.3万人
65〜69歳31.4万人64.9万人53.6万人
70歳以上51.4万人88.5万人98.3万人
年代別の比較



数字が多いので、以下で簡単に特徴をまとめます。



ココがポイント

2011年から2016年:10~14歳以外、どの年代においても人数が増加
2016年から2021年:増加した年代は45~49歳、55~59歳、70歳以上の年代。その他の年代は減少。


このように、総楽器人口の増えた2016年においては、ほとんどの年代で増加しているのに対し、

総楽器人口の減った2021年においては、ほとんどの年代で減少していることがわかります。




それからさらに、視点を変えて見てみます。

この調査は5年毎ですので、2016年にその年代だった方は、次の調査年である2021年にはもれなく一つ上の年代に属することになります。

ですので先ほどの年代別の比較表において、ある年代の人数からその前の調査年の一つ下の年代の人数を引くと、世代別の人数の増減がわかります。

例えば、2016年時点で楽器を演奏する25歳の人が、2021年時点/30歳の時には辞めてしまっているとしたら、

2016年の25~29歳の人数と2021年の30~34歳の人数の差に影響します。


それが下の表です。


年代2011年から2016年
世代別増減人数
2016年から2021年
世代別増減人数
10〜14歳
15〜19歳-40.4万人-55.2万人
20〜24歳-37.2万人-44.0万人
25〜29歳-12.5万人-29.9万人
30〜34歳10.3万人-11.8万人
35〜39歳18.1万人-6.4万人
40〜44歳2.7万人-7.8万人
45〜49歳-8.2万人-3.4万人
50〜54歳-1万人-8.8万人
55〜59歳0.9万人-9.4万人
60〜64歳12.5万人-7.4万人
65〜69歳18.8万人-6.1万人
70歳以上31.7万人-5.6万人
世代別の比較


こちらも数字が多いので特徴をまとめます。



ココがポイント

2011年から2016年:10代から20代までは減少、それ以上の世代はほとんど増加。
2016年から2021年:全世代において減少。



こうしてみても、2021年は幅広い世代において楽器演奏をする人の数が減ってしまったことがわかります。



年に数回だけ行う人が大幅に減少

次に、楽器の演奏を行う頻度別の人数を比較してみます。

それが下の表です。

総数年/1〜4日年/5〜9日月/1日月/2〜3日週/1日週/2〜3日週/4日以上
2016年人数1240万人332.0万人120.5万人172.8万人124.6万人142.7万人120.9万人145.0万人
2021年人数1143万人243.9万人116.7万人173.2万人137.1万人140.1万人123.0万人141.6万人
頻度別増減数97.0万人-88.1万人-3.8万人0.4万人12.5万人-2.6万人2.1万人3.4万人
頻度別の比較




そうすると、「年に1〜4日」行うという人の減少が88.1万人とずば抜けて多いことがわかります。

減少人数総数が97万人ですから、その内のほとんどがこの頻度の方という事になります。


さらにこの頻度を、年に数回行う→ライトプレーヤ、月に数回行う→ミドルプレーヤ、週一回以上行う→ヘヴィープレーヤに分けてみると、


ライトプレーヤ:91.9万人減少
ミドルプレーヤ:12.9万人増加
ヘヴィープレーヤ:2.9万人増加



このように表すことが出来ます。


つまりこの結果からは、日常的に楽器の演奏を行う人はむしろ増えているという事がわかります。


まとめ

楽器人口は?

  • 2021年の社会生活基本調査によると「楽器の演奏」を行う人は全体の約10.2%にあたる約1,140万人。
  • 2016年の調査時と比べて、約100万人減少した。


どういった層が減っている?

  • 男女別では減った人数の内、約25%が男性、約75%が女性。
  • 年代別ではほとんどの年代、世代にて減少。
  • 頻度別では年に数回行うライトプレーヤ層が大幅減少。それ以外の層は増加。



以上、2021年の社会生活基本調査結果を基にした、日本の楽器人口についてご紹介してきました。


2021年は2016年と比べて、

楽器の演奏に限らず趣味や娯楽を行う人は全体的に減少してしまいました。

例えば

カラオケ:約1960万人減少

裁縫・編み物・手芸:約300万人減少

囲碁・将棋:約60万人減少



冒頭にもご紹介したように、新型コロナウイルスによる影響、ネットコンテンツの急速拡大の影響は大きいと思います。


新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした自粛などの動きは落ち着いてきていますが、上記でご紹介したような外出を伴わない趣味・娯楽を行う人数も減少していることも鑑みると、

楽器の演奏などの比較的アナログで古典的な趣味・娯楽が今後衰退していかないようにするためには、ネットコンテンツとの関連、融合も大きな課題となるでしょう。


また私どもとしては、基本的な楽器の魅力や演奏の楽しさ、それによって得られる事をこれからも発信してきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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