今回の記事について
レコーディングってどれくらいの時間がかかるの?
無駄な時間をかけないためにはどうすればいいの?
レコーディングのお問い合わせの中で、所要時間に関する内容はとても多いです。
そんな中、1曲完成させるのに○○時間くらい必要と聞いて、
『そんなにかかるの!?』
となる方も結構多いです。
なぜレコーディングにはそれほど長い時間が必要なのでしょうか?
そして無駄な時間をかけないための方法はあるのでしょうか?
今回は、レコーディングに思ったより長い時間がかかってしまう理由と、無駄な時間をなるべくなくす方法についてご紹介します。
レコーディングが思ったより長い時間かかる理由

5分の曲を1回演奏するのに必要な時間は5分です。
でも、レコーディングが5分で終わることはありません。
こちらの記事でもご紹介したように、
レコーディングスタジオの料金は、利用時間と金額が比例することが多いです。
つまり、思ったより時間がかかったと思う方のほとんどが同時に、
思ったより高くなってしまった
とも思っているのではないでしょうか。
さらに、
それが相対的に完成した楽曲のクオリティが向上することになれば良いのですが、
そうでない場合は、その時間は無駄な時間ということになってしまいます。
まずはレコーディングにおいて時間がかかってしまいがちなポイントを解説していきます。
マイクセッティング、サウンドチェックに時間がかかる

どんな楽器でも、概ね10分~15分前後のセッティング時間があれば演奏を始められると思いますが、
レコーディングの場合は、そこから録りはじめるまでの間にマイクセッティング、サウンドチェックという準備項目があります。
マイクセッティングとは?
収音のために発音源に対してマイクを向ける事。
「マイキング」とも言う。
サウンドチェックとは?
マイクで収音した音(=録り音)の確認。
イメージ通りの音で収録できるかどうかの確認をおこなう作業。
「マイクセッティング→出音やマイクの調整→サウンドチェック」を繰り返しより良い音で収録できるようにしていく。
マイクセッティングやサウンドチェックはライブの時にも行われますが、レコーディングの場合もう少し緻密に行われる事も多いです。
特にドラムを録る場合や、バンドで同時に録る場合は楽器の点数が多いのでそれだけ多く、準備の時間を必要とします。
マイクセッティングやサウンドチェックの時間は無駄な時間ではないのですが、
「思ったよりかかる時間」の一つでもあるため、この時間を考慮したスケジュールを組み立てが必要となります。
納得のいく演奏ができるまでに時間がかかる
準備ができたらいよいよ録音です。
一曲通して演奏して一発OK!
と行きたいところですが、中々そうすんなりとはいきません。

いつもなら出来る演奏もレコーディングになると出来なくて、何回も録りなおす事になってしまうのはナゼ??
レコーディングにおける緊張感や環境が、いつもの演奏を妨げるというのは全くないわけではありません。
しかしほとんどの場合、普段は出来たつもりになっているだけなことが多いというのが正直な所です。
リズムや細かいフレーズの精度が悪くてもなんとなくできた気になっており、いざ録音してみると、その精度の悪さがハッキリと出てしまうのです。
このように、思ったような演奏ができるまでに何回も演奏して録り直しをすることは、無駄な時間と言えるでしょう。
メンバー同士やエンジニアとの情報共有が不十分で時間がかかる

(ベース)
あれ?Bメロのコードなんかおかしくない?
(ギター)
え、そう?いつもこれで弾いてるけど。

ドラムとベースを録って、ギターを録っている時にこのようなやりとりが行われました。
メンバー同士の曲の構成に関する情報共有がしっかりできておらず、誰かが誰かの想定と違うことをやっていたということがレコーディングの最中に発覚することも多いです。
このような事が起こってしまうと、確認で時間をとってしまうだけならまだしも、
意図しない変更を行うことになってしまう、または遡って録音し直すことになってしまうかもしれません。
さらに、

(ドラム)
ソロ前の間奏の折り返しのフィル間違えた・・・そこだけ録りたいです!
(レコーディングエンジニア)
はいー・・ちょっと待ってくださいねー・・・
(ソロ前の間奏てどこ???)

ドラムを録っている時のやりとりです。
これは演奏者とレコーディングエンジニアとで曲の情報共有が出来ていないために起こってしまうことです。
ドラムやベースを録音している段階では、どこがサビでどこからが2番で・・・といったことは判断しづらいこともあります。
また歌を録っている時に歌詞の共有ができていないと、「〇〇〜という歌詞の部分」、「サビの3行目」と言われてもすぐに出せないことがあります。
このように情報共有ができていないと効率よく進めることが出来ず、結果的に無駄な時間をかけてしまう可能性があります。
無駄な時間をかけないためには?
レコーディングにおいて、このような無駄な時間をできるだけなくすには、
事前準備をしっかり行うこと
これが一番効果的です。
レコーディングの最中にかけなくても良い事にかける時間が減り、
結果的にコストを抑えて、よりクオリティの高い楽曲が出来上がるでしょう。
そのために事前に準備しておくべき項目をご紹介します。
出したい音を決めておこう

レコーディングにおいて出音はとても大切です。
かといって、無限に可能な音作りをレコーディング当日に行っていては時間がいくらあっても足りません。
出したい音はなるべく決めておく、迷っているとしても数パターンに絞っておく、
などを行い、それをレコーディング当日に再現できるような準備をしておきましょう。
演奏の成功率を高めておこう

どのようなフレーズをどのように演奏できれば合格かを決め、
普段から、メトロノームなどに合わせて演奏し録音して聴き返して確認する、という練習を行うようにしましょう。
録って聴かないと演奏が合格かどうかの判断ができません。
また、実際の曲の速さで演奏できなければ意味がありません。
これらを意識して練習しておけば、
レコーディング当日に『ハマる』ことはほぼなくなります。
曲に関することはメンバー間で共有しましょう
自分のパートのことをメンバーに知ってもらい、他のパートのことも自分が知るよう心がけましょう。
具体的には
- 曲の進行表、コード表を作る。
- 全員の音がハッキリと確認できる状態で録音し全員が聴く。
こういったことを行えば、認識の違いがレコーディング中に明らかになることはほとんどなくなります。
レコーディングエンジニアに曲構成と歌詞の共有をしましょう

当日、レコーディングをスムーズに進行させるためには
レコーディングエンジニアにも曲構成と歌詞がわかるものを書面で用意しましょう。

そのまま印刷できるような書類データでもOK!
デモ音源だけを渡されることもあるのですが、聴いても曲構成や歌詞を覚えられるわけではありません。
その点、紙に書かれた構成表なら、録音しながら見るだけで構成を把握することができ、必要に応じてメモを記入していくこともできます。
構成表の形式は、コードが記載してあったり、誰が見てもわかるように演奏記号などを用いるのが望ましいですが、
「[イントロ(8小節)]→[Aメロ(16小節)]→[Bメロ(8小節)]→[サビ(16小節)]→[間奏(8小節)]・・・」
というような簡易的なものでも大丈夫です。
またこの後の工程であるミックスダウン時には、
楽曲の完成イメージや音の方向性も、レコーディングエンジニアと同じ認識を持つ必要があります。
参考音源等があればそれも共有するようにしましょう。
まとめ
レコーディングにはなぜそんなに時間がかかる?
マイクセッティング、サウンドチェックに時間がかかる。
納得のいく演奏が出来るまでに時間がかかる。
情報共有が不十分で時間がかかる。
無駄な時間を減らすには?
出したい音を決めておく。
演奏の成功率を上げておく。
メンバーやレコーディングエンジニアに共有すべき情報を共有しておく。
今回はレコーディングに思ったより時間がかかってしまう理由と、無駄な時間をなるべく減らす方法についてご紹介しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。